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【感想】『君たちはどう生きるか』学生時代、人格形成に非常に大きな影響を与えた歴史的名作について話します【座右の書】【おすすめ】

こんにちは、おたふら(@OtafraJapon)です。

おたふら
おたふら
みなさんは、自分の人格形成に多大なる影響を与えた「座右の書」はありますか?

 

今回は僕の人格形成に非常に大きな影響を与えた座右の一冊、吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』という本について書いていきたいと思います。


君たちはどう生きるか (岩波文庫)

僕が学生時代から何度も何度も読んできた本で、世の中にある本の中で最も自分にとって大切な一冊になります。

この本から様々なことを学び、人生の指針にしてきました。大学時代、最近少し話題になってきている「ビブリオバトル(書評合戦)」というイベントに参加して、この本で発表したをしたこともあるくらいです笑

2017年に漫画化され、当時書店にものすごい量が平積み面出しされていたので、みなさんも見たこと聞いたことはあるのではないでしょうか?

ジブリで宮崎駿監督が映画化するんじゃないかという噂もあるようですね。

昔から多くの人たちの考え方に影響を与えてきた歴史的名著でありながら出版されていたのが岩波文庫ということもあり、ページをめくることなく「なんか難しそう」と敬遠していた人も多く、それまでは脚光をそこまで浴びてこなかった本でもあるかと思います。

岩波文庫から出ていたり、哲学書というカテゴリで紹介されることが多いため一見難しそうに思いますが、実際にページをめくって読んでみると、難しい専門知識は使われておらず、物語形式で書かれており非常に読みやすい本なので、気軽に読み進めることが出来る一冊です。

『座右の書』に出会った中学時代

僕は小学生の頃から本が大好きで、多くの絵本・児童文学で育ってきました。ブログでもよく記事にしているので、よく見に来てくださっている方はわかる人もいるかもと思いますが、大人になった今でも絵本や児童文学が大好きで、その奥深さに惹かれて読み続けています。

そんな僕でもやはり、子ども向けの本だけでなく、大人向けの本に興味が移ってきた時期がありました(….変な意味ではありませんよ!)。それは他の多くの人と同様に、中学生のときです。

当時よく行っていた図書館には、通っていた書道教室の先生の娘さんが司書として働いていて、とても仲良くしてくれていました。最初、教科書に載っていた太宰治や芥川龍之介くらいしか知らなかったのですが、それらの作家の作品を何冊か読んで他の本を探していた時に、その仲良しの司書さんがおすすめしてくれたのが、後に僕の人生の1冊となる、この『君たちはどう生きるか』でした。今でもこの本と引き合わせてくれたこの司書さんには本当に感謝しています。

初めて読んだときは何故か心に響かなかった

初めて読んだときのことはあまり覚えていないというのが正直なところです。中学1年生だったか2年生だったかも忘れてしまいました、、。中学生だった僕は、この本を読んで何を思い、何を感じたのか、今となってはわかりません。

そのときの印象が記憶に残っていないということは、今みたいに「座右の書」と思えるようなことをこの一冊から感じなかったんだろうなと思います。

この本から、他とは違う「何か」を感じだしたのは高校生のときです。この時期、昔読んだいろんな本を読み直していた僕はこの「君たちはどう生きるか」も読みました。

この2回目に読んだ時のことは強烈に覚えています。

高校生になって知能が成長したせいなのか、この本が何を言わんとしているのか、中学時代とは感じ取ったことが明らかに違いました。

そこから大学時代、社会人になってからも何度も何度も読み返すようになっていった訳です。

内容、感想(ネタバレ有)

本の内容、この本から感じ取ったこと、惹かれた点などについて今から書いていきたいと思います。

本の内容について踏み込む部分もありますので、何も知らない状態で読んでみたいという方はここは読まないようにご注意ください。

コペル君こと本田潤一は、学業優秀でスポーツも卒なくこなし、いたずらが過ぎるために級長にこそなれないがある程度の人望はある。コペル君は友人たちと学校生活を送るなかで、さまざまな出来事を経験し、観察する。各章のあとに続いて、その日の話を聞いた叔父さんがコペル君に書いたノートという体裁で、「ものの見方」や社会の「構造」、「関係性」といったテーマが語られる、という構成になっている。

                         引用元:wikipedia

主な登場人物

コぺルくん・・・主人公。あだなの由来はコペルニクスから

お母さん

叔父さん・・・法学士。「コペルくん」というあだ名の名付け親

浦川くん、水谷くん、北見くん・・・コぺルくんの親友

どういう人間になるか、いかに生きるか、主人公のコぺルくんが様々な経験から悩み、考え、近所に住む伯父さんに相談をする。作者の吉野源三郎さんはこの二人の会話の中から読者に向けて多くのメッセージを投げかけてきます。

特に僕の心に残った2つのエピソードがあります。

自分の信念に従って生きる大切さ

1つ目は、コぺルくんが親友の北見君たちが殴られているのを見て見ぬふりをしてしまい、その後苦悩するエピソードになります。

コぺルくんは自分がしてしまったことの重大さに気づき、北見くんたちに何て言おうか、その言い訳を考え始めます。そして言い訳ばかりを考えている自分に気づき、自らを嫌悪し、苦悩し、叔父さんに涙を流しながら相談します。最終的にコぺルくんは、言い訳を一切せず、自分の過ちや卑劣さ、北見くん達に絶交されても仕方がないことをしたと手紙にしたため、誠意を持って謝罪をします。

 

北見くん達は、別にコぺルくんのことを全然恨んだりなどしていなかったのですが、コペルくんからの手紙を読み、4人の友情はより一層深まります。

人間は生きていく中で大なり小なり必ず過ちを犯します。ですが、生きていく上で大切なことは、間違いを起こしてしまった後に、誠意をもって正直に謝罪をし、自らの罪を受け入れることにあると思います。

この本からは、過ちを犯してしまった後に、どういう行動をとるかでその人間の本当の意味での大きさが決まるのだというメッセージが伝わってきました。

そしてここまでのことは、学校の道徳の授業などでも聞いてきたことなのでそこまで突出した点ではないのですが、僕の人格に多大な影響を与えたのは次の一文です↓

そしてそこには必ず、自分の感情がつらぬかれていなくてはならない

この一文から、高校生だった僕は、今まで聞いてきた「道徳」や「倫理」的な話と違いを感じたんです。

この本では、一見「謝ることの大切さ」が書かれているのだと感じ取る人が多いのではないかと思います。

でも高校生になってから読んだときは、謝らないことがいけないのではなく、「自分自身で、謝らなければならないことと認識しているのにそれを認めない」ことが問題なんだといっているのだとこの本から感じ取ったんです。

これは違う言い方をすれば、「正しいと信念を持っていることについては、謝ってはいけない」ということだと思っています。

日本には聖徳太子が言ったと言われる

 和を以て貴しとなす 

という言葉がありますね。自分が悪いと思っていないのに、場の空気を荒立てないため自分の感情を無理やり抑え謝罪をする傾向があります。日本には大好きな部分が本当にたくさんありますが、日本人のこの国民性はどうしても好きになれません。

自分が悪いと思っているなら誠意を持って謝罪をする。自分が正しいと思っていることは信念を貫き謝ってはいけない

というのがこの本を読んで僕の人生の指針となった考え方です。

おたふら
おたふら
今思えばこの文が、同棲しているフランス人彼女の「自分に正直な生き方」を尊敬し、フランス人達の考え方に共感する要因の一つになっているのかもしれません。

 

あの人たち、自分が悪いと思っていないことについてはマジで謝りませんもんね、大切だと思います。

石段を登るお婆さんの話

もう一つ印象に強く残ったエピソード、それがお母さんがコぺルくんに話して聞かせた、自分の若いころに会ったお婆さんの話です。

お母さんは学生時代ある長い石階段を登っていたところ、何段か先に荷物を抱えて登る一人のお婆さんがいました。お母さんは石段を登っている最中、「お婆さんに話しかけて荷物を持ってあげよう」と何度も何度も考えたのですが、タイミングがつかめず、遂に声をかけれないままそのお婆さんは石段を登りきってしまいました。

 

お母さんは、大人になった今でもこの昔の出来事をしばしば思い出すのだとコぺルくんに話して聞かせます。

これは、電車やバスで席を譲ろうとするときなど、同じようなシチュエーションが容易に考え付くと思います。

それで言えば、いざそういう状況になった時に「席を譲ろう」という考えと「席を譲ると、そんな年齢じゃないとキレられるかもしれない」という2つの感情が同時にくる人もいると思います。

こういうのって、「犯罪ではない」という意味でいうならば、別にしなくてもいいことではあると思うんです。モラルの問題。

それでもそのとき行動を起こせなかった自分のことは、何年か経っても覚えているものだと思います。

そうした2つの感情のはざまで揺れ動いた時に自分はどっちの選択をとるのか、そうしたことを考えさせられる話です。

<おわりに>

この本には考えさせられるお話が本当にたくさんあります。

他にも色々な話があります

この記事を書いている2020年4月現在、新型コロナウイルスで首都圏に緊急事態宣言が発令され外出自粛となっているので、コぺルくんが気づいた「生産者と流通、販売」のエピソードも今の僕たちにもの凄く刺さる話で、こんな社会状況の中でも働いてくれている人への感謝の気持ちを忘れてはいけないことを再確認できます。

 

人生はみんな違い、ここまで来た経験、そのときの状況によって刺さる一文や印象に残る話も異なると思います。

僕がこの本から受け取った解釈も、全く真逆に受け取る人もいるでしょう。漫画も読んでみましたが、描いてあった石段を登り切った時のお婆さんの表情なんかは僕が学生時代からずっと想像してきた表情とは全く異なるものでしたので、漫画の絵を描いた方と僕の受け取り方は違うものだったのでしょう。

もちろん、いろんな意見があっていいと思います。本は読者の数だけ受け取り方があるのですから。

それでも僕にとってはおそらく、この本以上のものにこれから出会うことはないんじゃないかと感じています。そのくらい素晴らしい一冊ですので、興味がありましたらみなさんもぜひ読んでみてください。

それでは!!!